精神的、知的、発達、身体など様々な障害をお持ちで就職するのが難しいと悩まれている方はたくさんいらっしゃいます。ご自身でお仕事を見つけようにも、正直に話せば採用してもらえなかったり、かといって隠して入社してもお仕事を始めたら上手くいかない事ばかり。
障害をお持ちの方が就職先を見つけ、永く続けていくために就労移行支援や就労定着支援というサービスがあります。受給者証の発行があれば自治体からの援助をうけ利用できるこのサービス。皆さんどうやって見つけているのでしょうか?
今回は、就労移行支援、就労定着支援施設の探し方、選び方、見学時のポイントについて書いていきます。
どうやって見つける?就労移行支援の探し方
就労移行支援を利用したいと思っていてもどうやって探したらよいか、分からないですよね。就労移行支援施設の探し方を実際に通われているご利用者様から伺いました。
市区町村へ相談する
市区町村にある役所の障害福祉窓口へ相談に行き「就労移行支援施設の利用を考えていて、どんな施設があるか知りたい」という事を伝えてみましょう。市内にあり信頼できる施設を紹介してもらうことができます。
また、市区町村によっては市内にある就労移行支援施設、定着支援施設などがまとめられたパンフレットを作成している自治体もあるのでパンフレットをもらって直接施設に連絡してみるのも方法の一つです。
専門機関へ相談する
ハローワークや障害者就業・生活支援センター、障害者相談支援事業所、障害者職業センター、医療機関などでも就労移行支援施設を紹介してくれることがあります。就職活動をしたいとおもっていることや、繋がりがあるようであればよい支援事業所を教えて欲しいと相談してみるのも良い方法です。
知人に相談する
意外と多いのがこのパターン。知り合いをつてに就労移行支援施設を探したという方もいらっしゃいます。自分の悩みを打ち明けるのは勇気のいる事ですが、困っていることを話してみることで意外と近くに悩みを解決できる方法があるかもしれません。
ネット検索
ネットで探すのは手軽ですぐできるというメリットがありますが、参考程度の情報収集がおすすめです。ネット上にある執筆者の主観が混じる記事を参考にし過ぎてしまうと先入観から良い機会を逃す原因になりかねません。
就労移行支援を選ぶときの注意点
就労移行支援を受ける目的は、皆さん共通して永く続けられる職場を見つけ、就職し、自立することだと思います。その目的がはっきり明確になっていないと「思っていたのと違う」という結果になりかねません。
就労移行支援を選ぶ際に、自分が施設に通える状態であるかを医師に相談することはもちろんですが、ご自身が目標としていることと就労移行施設が目指しているものが一致しているかというのはとても重要な選ぶポイントです。
「就労したい!」と心から望んでいる場合に注意してみてほしい就労移行施設を選ぶポイントをいつくかピックアップしました。
➀自分が目標としている事を実現できる場所かどうか(実際に実現した人がいるかどうか)
就労移行施設を利用する際に必ずしもやりたい職種を明確にしておく必要はないですが、具体的になっていればなっているほど就職への道のりは近くなります。
就労移行支援を利用できる期間は基本的に「2年間」という制限があります。
体調を整え、就職できるような生活習慣を身につけ、スキルを上げ、障害を受け入れ、コミュニケーション能力を身に付け、更にやりたいことを見つけて就職をするといのを2年間の中で全てやるのは、駆け足で頑張らなくては間に合いません。
就労移行支援を受ける2年間をより充実させ意義のあるものにするには、ご自身の目標にあった支援施設を選ぶのが最も近道です。
というのも、就労移行支援とひとくくりにはなっていますがそれぞれの施設で得意としている分野は異なります。
PCスキルに特化しひたすらPCの実技を行う支援施設もあれば、エンジニアを育てる支援施設、コミュニケーションスキルに特化しご利用者様同志の関わりが多い施設、話を聞きよく相談に乗ってくれる施設などカラーも異なります。
ご自身が目指したい将来像が明確になっているのであれば、そのような職業についた卒業生がいるか、その施設が得意としている分野かどうかを確認してみましょう。
②障害に対する専門的な知識を持っている職員はいるか
就職への近道は自分自身を知ること。自分は何が得意で何が苦手なのか、苦手に直面した時にどう対処したらいいかを自分自身で知り対処できるようになることです。
自分を理解してくれる人が身近にいることで、自分自身への理解も深まります。
障害に対する専門的な知識を持っている職員がいるかどうかは、問題に直面した時や自分自身の成長の過程でとても重要なポイントとなりますので、こちらも確認してみることをお勧めします。
③自分と同じ障害を持った人が過去に居るか
専門的知識を持つ職員がいても、障害の種類によっては困惑してしまうこともあるかもしれません。同じ障害を持つ人がいると、自己理解を深め成長するきっかけにもなりますし、同じ特性を持つ人がいたり、同じ特性を持つ人が卒業されている施設は安心の一つの材料になります。
④就職率と定着率
就職率や定着率が高いからといって必ず就職ができるというわけではありませんが、高い数字を維持している就労移行支援施設には企業とのつながりがあったり、就職に近づくためのノウハウを熟知している可能性が高いです。参考までに確認してみましょう。
就労移行支援施設を見学する時のポイント
気になる就労移行支援施設を選んだら、必ず見学に行きましょう。
自分が収集した情報とは違った新たな発見が必ずあります。聞いていた印象と、実際に行ってみた印象は異なることも往々にしてあります。
カリキュラムの雰囲気があっているか、環境は大丈夫か
様々な刺激、空気、雰囲気に敏感な障害特性をお持ちの方もたくさんいらっしゃいます。「音が苦手」「場所が苦手」「匂いが苦手」など行ってみないと分からないことがたくさんあるかと思います。実際に行ってみて感じる印象は最も重要な選ぶポイントかもしれません。
施設の場所は無理なく通える位置にあるか
たまに行ってみるのと毎日通うのとでは身体的、精神的負担の大きさが全く違います。お仕事を探すときももちろんですが、通勤に無理のない場所にあるか、交通費やかかる時間なども参考にし無理なく通える範囲内か実際に行ってみたときに確認しましょう
支援員との相性、話しやすさ
見学対応している支援員が担当になるとは限りませんが、困りごとや就職活動に関する相談、病気についての相談など支援員に相談する機会は通所した後にたくさんあります。そんな時に話しやすいか、信頼して話せるかは重要ポイントです。困難にぶち当たった時、支援員の言葉を信頼することができるかどうかはその後を大きく左右します。
自分のことをちゃんと話そう
就労移行支援施設の見学は、たとえその施設を利用しなかったとしても自分に適した場所を専門知識を持った職員からアドバイスを受けることのできるチャンスでもあります。
困っていることや目標としていること、自立に向けて課題となっていることや障害の特性など、隠さず話すことで適切なアドバイスを受けるきっかけにもなります。
見学時にはこんなことを相談したい、こんなことを質問したい、こんな問題を解決できたらいいななど、話したいことを具体的にして行くと見学時間をより有益な時間とすることができ、次のステップのヒントを見つける機会となります。
まとめ
今回は就労移行支援施設を探し、選び、見学する時の方法やポイントを書いていきました。貴重な2年間を充実したみのりある時間にできるよう、就労移行支援施設選びはしっかりとやりたいですね。