※写真はイメージです
統合失調感情障がい 30代男性 Cさん
プラーナ相模原利用期間 11ヶ月
人との繋がりを大切に。些細なことでも気にかけられる人になる
「33歳からです、自分の障がいと向き合って勉強し始めたのは」
「それまでは子供だった。癇癪を起こしたり、気に入らないことがあると怒ったり」
とにかく感情の起伏が激しかった。そう語るCさんの瞳は穏やかで、ゆっくりと落ち着いた声。
今の自分に至るまでには様々な努力と、変わるきっかけとなる人との出会いがあったという。
子供の頃から生きにくさを感じていた。社会と自分との間に立ちはだかる壁に言葉にはできない想いを感じながらも、自分にできることを努力し続けるCさん。彼がプラーナで過ごした11ヶ月と。就職、定着に至る道のりをご紹介いたします。
目次
01.一般就労することが怖かった
プラーナを利用する以前A型事業所に通っていた。そちらでお世話になっていた職員さんの紹介でプラーナを知ったというCさん。
「一般就労がしたかったのですか?」と尋ねると真っ先に「いや」と首を振り「一般就労するのが怖かったんです」と話される。
過去にご就職された経験もあり、社会にでて働くことの厳しさも社会から求められるスキルや期待に応えなくてはいけないプレッシャーも。経験したことがあるからこそ社会復帰することへの恐れが立ちはだかる。
それでもなお、就労移行の利用に踏み出した理由を伺うと、そこにはCさんが築いてきた人脈とたくさんの人のサポートがあった。
「ソーシャルワーカーさんに、精神科の先生に、心理士さんに、デイケアのスタッフに、事業所の職員さんに…」
ご自身の障がいと向き合うと決めてから、ご自身の障がいを知ってゆくとともに築かれていった信頼できる人たちとの関係。
「みんなに相談しました」
自分一人では選べない。心強い人々の後押しがあったからこそ、一般就労に向け頑張る決意ができたそう。
02.プラーナ入所、立ちはだかる「特性」
プラーナを利用する前から「一年以内に就職する」と心に決めていたというCさん。
その決意の通り11ヶ月でプラーナを卒業される。
「社会に出た経験はある。仕事をするということはどうゆうことなのか、どんな問題にぶち当たるのかは想像できた。だから2年もいる必要はないと思っていた」
「自分は文章をまとめたり、文字を書いたりすることがとても苦手。だから書類作成には苦戦するだろうと思っていた。だからプラーナに入所したばかりのころから、自主学習の時間にはPCを使わせてもらって書類作成をしていたんです。」
書類作成は自分自身と向き合う作業。
「過去の嫌な経験を思い出さないといけなかったり、でもそのことによって自分が体調不良にならないように自分をコントロールしたり、苦手な文章を考えたり、とにかく時間がかかりました。」
障がいについて学ぶと決めた時から、様々な体験談を聞いたり、勉強会に参加したり、ご自身でできる限りの努力をされ自己理解を深めていったCさんだからこそ、1年後の就職に向け、自分の苦手を理解した上で逆算して行動することができた。
とはいえ、プラーナの職業訓練を受ける中で困難なことにぶつかることは多々あった。
音が聞こえすぎてしまう
人が聞こえている以上に音が大きく聞こえる。拾わなくても良い音を拾ってしまう。
そんな特性から、カリキュラム中にスピーカーから聞こえる音の大きさ、職員の声のボリューム。近隣の工事の音や、休憩中の雑談で重なって聞こえる人の話し声の音などに想像以上に疲労が蓄積されていく。
特に、コロナ禍で特別に行なっていた在宅訓練は自宅にいながらzoomを通してカリキュラムに参加したり、会話したりする。対面とは異なった音の聞こえ方に困惑し、カリキュラム中音量の調整に試行錯誤する。また、耳から入る言葉の理解も難しく、「自分にはリモートは無理だ」と、自覚するきっかけにもなったという。
体温調節が難しく体に熱がこもってしまう
プラーナに入所する前から自覚していた特性の一つが体温調整。他の人と感じ方が異なるため、周囲の人が適温と感じる環境であっても暑いと感じてしまう。
特に足は熱がこもりやすく、その不快感からカリキュラムに集中できないことも多々あったため、自分から職員へ発信し、サンダルの使用を許可してもらった。
文字の理解が難しい
音からの情報をキャッチしづらい方はたくさんいらっしゃるため、プラーナではどんなカリキュラムであっても局力「スライド」を使用するようにしています。
重要なことは文字や図にしてわかりやすく表示させながら進めていても、Cさんには読めない漢字や理解が困難な言葉もたくさんあり、スピードについていくのが難しいと感じることも多々あった。
グループワーク
一対一のコミュニケーションならまだ大丈夫。それが複数人になると大混乱。
コミュニケーション力を重要視したプラーナのカリキュラムではグループで話し合うカリキュラムもあります。そんな時、他の方の会話のテンポについていけず、投げかけられた質問に対してすぐに返答することが難しかった。沈黙が続くと申し訳なく、グループワークを負担に感じることもあった。
特に苦手だったのがSST(ソーシャルスキルズトレーニング)で、自分が経験したことのないことを想像することが難しいのに、ましてやそれを演じたり、人が演じていることに対して良かったことや改善点も見つけられず、毎回参加するのが苦しかった。
03.自分が変わったきっかけ、プラーナを利用することでの変化
「この人は自分に似ている。と思った人がいたんです」
言葉が出てこない。
喋るのに時間がかかる。
グループワーク、特にSSTが苦手。
きっと困っていることも自分と同じなんだろうな、そう感じていた。
そんなプラーナでの先輩があるとき、「そのままでもいいんじゃない」という言葉をくれた。
できないことを一生懸命やろうとしていた。
自分を変えようとしていた。
周りの期待に応えようとしていた。
そんなCさんに投げかけられたその言葉に救われた気がした。
「本当に感謝してるんです」
もちろん、難しいと思ったカリキュラムで鍛えられたこともあった。
変われた部分もあった。
努力して良かったこともたくさんある。
でも自分は自分。いつまで経っても苦手なものは苦手。それでいい。
そんな自分を受け入れられた時に、変わらないところを変えるのではなく、
自分にできる努力をしよう。それでいいんだと思えるようになった。
04.就職に向けて
苦手がたくさんある自分にとってどんな仕事が合っているのかそれを模索していた1年間。
自分より先に卒業していった先輩たちが就職した先も自分にとっては仕事探しの一環だった。
自分と似ていると感じていた先輩が就職した先、その職業がきっと自分にもできること。そう直感し希望職種を絞り就職活動を進めていった。
絞った職種は清掃系のお仕事だったが、中でも利用者さんとの接点が少ない場所を探した。
今まで自分がしてきた経験から、得意、不得意を分析すること。
周囲の人を客観的に観察することで学び吸収したことの中から自分に合った職業を探していく
05.現在のご様子
当初目標に掲げていた「1年以内に就職する」ことを見事に達成し、入所から11ヶ月で現在のお仕事に就く。
「就職後半年間はずっと…本当に大変でした」
職場から、周りの同僚から配慮をいただくには自分に与えられた仕事をしっかりこなさなくてはいけない。自分自身を認めてもらい初めて、配慮していただいていることで感じる心苦しさや居心地の悪さは払拭される。
今でこそ職場で頼りにしてもらえる、認められる存在のCさんですが、そのポジションを築くまでの苦労がたくさん合ったと話されていました。
「今は、居心地が良すぎて、ずっとこの職場で働きたいと思っています」
と笑顔で答えられる。
最後に、働く理由を尋ねると
「社会に貢献したいから。自分が仕事をすることで職場の人が働きやすくなったり、その結果お給料をいただけたり。それが本当に嬉しい」
「同僚に対しても、ご利用者様に対しても。些細なことであっても気に掛けられる人になれるよう心がけています」
そう答えるCさんの目には自信がともっていた。
―次に繋げる―
就労移行支援プラーナは、あらゆる視点であなたの就職活動とその先のサポートをしていきます。
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