容易に答えの出ない事態に耐えうる能力のことをネガティブケイパビリティと呼ぶ
ネガティブケイパビリティとは、「答えの出ない事態に耐える力」のことです。
世の中は明確な答えのあるもんだいばかりではありません。
先が見えず、どうしようもない不安に耐えながら深く考える。
答えが出なくても問題に挑み続ける力こそ、ネガティブケイパビリティです。
人の脳はわからない状態に耐えられず、すぐにそれが何か決めて答えを出そうとします。
ノウハウ、マニュアル、ハウツーなどがあるのは悩まなくてもすむからです。
しかし、すぐ答えを見つける問題解決能力だけでは解決できないことも人間社会では多いのではないでしょうか?
多くの人と一緒に働いていく職場では特に、多角的、長期的な視野でものを考えたり、不安な状態に耐えつつ現実を見続けてより良い道を探していく力が必要とされています。
ネガティブケイパビリティの事例
ネガティブケイパビリティには実際にどんな事例があるのでしょうか。
- 対人関係の改善: 長い間対人関係に悩んでいた個人が、相手の視点を理解しより良いコミュニケーションの方法を見つけることで、関係が改善される。悩みや疑問が新たなコミュニケーションスキルの発見につながることがあります。
- キャリアの転機: 仕事において行き詰まりを感じ、転職や新たな職務への挑戦を悩むことで、自分の真の興味やスキルに気づき、より適切なキャリアパスを見つける。悩むことが自己認識と方向性の向上に繋がることがあります。
- クリエイティブなプロジェクト: アーティストやクリエイターが、アイデアや表現方法について悩むことで、新しいアート作品やプロジェクトが生まれ、芸術的な成果を向上させる。悩みから生まれた洞察がクリエイティブなプロセスを豊かにします。
- 学問の深化: 学生や研究者が難解な問題に直面し、数か月にわたって解決できないでいると、その過程で新たな仮説や研究アプローチが生まれ、研究の深化につながる。悩みは学問の探求心を高める要素となります。
- 健康の向上: 健康問題に直面し、治療法やライフスタイルの変更について悩むことで、自身の健康状態を理解し、改善策を見つける。悩みが自己管理や健康への意識の向上に繋がることがあります。
これらの事例は、悩んだり、迷ったりしていた時間が新しい視点や解決策を生み出す契機となり、最終的に良い結果につながる可能性を示しています。
またよくある問題として「何を選んでもうまくいかない」という状況に陥る事があります。こちらを立てるとこちらが立たず。どの選択も満足して選ぶ事ができない時です。
そんな時にすぐに答えを出さず、現状を受け入れて待つ。それが必要な時は人生において起こりうるケースです。
辛いことは考えすぎず、ただ置いておく、というのも大事なスキルです。受け入れるまでいかなくても、そこにあることは許し、でも気にしないように過ごすことが置いておくスキルです。
「現状を受け入れてまつ」
「置いておく」
は、どちらもネガティブケイパビリティには必要なスキルではないでしょうか。
分かっていても早く問題を解決したい!ネガティブケイパビリティの良いところってどんなところ?
とはいえ、苦しい状況を早く脱出したいと思うのはあたりまえのことで。ネガティブケイパビリティを自ら実践したいと考える人は少ないかもしれません。
ではここで、ネガティブケイパビリティの良いところってどんなことがあるのか見ていきましょう。
- 成長と学びの機会: 悩むことや答えが見つからない状況は、個人の成長と学びの機会となります。困難な問題に取り組むことで、新しい視点や解決策を見つけ、自分のスキルや洞察を向上させることができます。
- 感情の理解と処理: 悩みや不確かさは感情の一部であり、これらの感情を受け入れ、理解し、処理することが重要です。感情を無視することは、健康な心理的な成長を阻害する可能性があります。悩みや疑問を探求することで、感情的な健康が促進されることがあります。
- 問題解決の契機: 問題に直面することは、その問題に対処するための新しいアプローチや戦略を見つける契機となります。適切な問題解決は、創造的な思考や革新性を促進し、個人の能力を向上させることができます。
- 他者とのつながり: 困難な状況に直面することで、他者との共感や協力が生まれることがあります。他者とのコミュニケーションや支えを得ることで、問題に対処するための新たなアイデアや視点が得られることがあります。
- 人間らしさ: 人間は完璧ではなく、悩むことや答えを見つけられないことは人間らしい一面です。その中での経験が、他者との共感や理解を深め、共通の経験を通じて結びつくきっかけとなることがあります。
したがって、くよくよ悩むことや答えが見つからない状況にはポジティブな側面もあり、それが個人の成長や人間関係の構築につながることがあります。
筆者も、すぐには解決できない問題に頭を悩ませたことが何度もあります。
周囲の人や環境を思い通りにすることはできないので、その時に自分にできる選択肢は「逃げる」か「継続する」かのどちらかでした。「逃げる」選択は手っ取り早く自分の中から問題を解決できる方法ではありましたが、早急に問題を解決する事ができなかったとしても、その問題と向き合い、受け入れ継続する選択をしました。
それから何年かが経過した今、私に何が残ったのか振り返ると「周囲の人からの信頼」が残ったと感じています。
自分自身への信頼度もアップしました。自分に自信がもて、自分の選択に対して後ろめたく思う気持ちは全くありませんでした。
全てのケースにおいて「継続する」選択が正しいとは言えません。時には「逃げる」選択が必要な時もあります。
ただ、問題と向き合い継続していくには「受け入れる」もしくは「置いておく」事ができるかどうかがとても大きなポイントになるように思います。
ネガティブケイパビリティを習得するには?
ネガティブケイパビリティのコツ1:自分に変えられることと、変えられないことを分ける
ネガティブケイパビリティのコツ2:自分に変えられることを変える
ネガティブケイパビリティのコツ3:「まいっか」
まとめ
いかがでしたか。このネガティブケイパビリティという言葉はプラーナ相模原のカリキュラム「読話力」のなかで取り上げた記事から引用させていただきました。
また「課題の分離」や「自他境界」「置いておくスキル」など、心を元気に保つための考え方を学ぶ、ストレスマネジメントカリキュラムはプラーナの全施設にて行っています。
ご興味のある方は下の「お問い合わせはこちら」リンクからご連絡ください。